🏫 転学という選択肢
ある日、夫が言った。
「通信とか、別の学校へ行くことも考えてみたら?」
全く思ってもみなかった言葉だった。
進級できないだろうことはわかっていたけれど、
“転学”という発想はなかった。
すぐに資料を取り寄せ、3校ほど見学に行った。
高卒認定が取れ、自分のしたいこともできる。
テストはオンライン、通学の有無も選べる。
通信制高校について何も知らなかったが、とても魅力的に感じた。
息子も良い印象を持ったようだった。
ただ、いくつかの学校を見ていくうちに、
「転学は違うかもしれない」と思うようになった。
プログラミングやゲーム開発など、自由度が高く楽しそうではあった。
けれど息子は、パソコンよりも手を動かして何かを作ることのほうが好きだ。
その“好き”は通信制では活かしにくい気がした。
そして、自由度が高いことは、息子にとってはむしろマイナスかもしれないとも思った。
高卒認定を取れたとして、その先の息子を想像できなかった。
家族で話し合い、結局、転学はしないことにした。
🌻 そして休学へ
7月。
その日は突然やってきた。
テストの点数が足りずに留年するだろうと覚悟していたが、
ある専門科目で“出席日数が足りない”と言われた。
担任の先生からすぐに連絡があった。
「すみません、僕がきちんと把握できていなくて……」
先生は全く悪くない。
ただ、もうどうしようもなかった。
提示された選択肢は3つ。
- ① このまま2年生として通い、翌年も2年生をする
- ② 休学し、翌年4月から2年生として復学する
- ③ 転学する
夫と私は①をすぐに除外した。
このままではモチベーションも下がり、周囲にも迷惑をかける。
③も、先に話し合って見送ったばかり。
残る②——休学して、翌年復学する。
そうして決めた。
夏休みに入る少し前、担任の先生に休学届を提出し、退寮手続きをした。
荷物をすべて運び出す。
二人部屋には、ルームメイトの荷物だけが残った。
ルームメイトには、「いつ言おうかな」と悩んでいたらしい。
部屋でそれぞれパソコンをしていたとき、
ふつうの会話の流れで打ち明けた。
「オレ、休学するわ」
ルームメイトはパソコンの手を止め、息子を見た。
「まじで、いつ?」
「明日。他のやつには適当に言っといて」
かろうじてルームメイトには別れを告げたが、
他の友達には何も言えなかったそうだ。
そして——
息子は休学した。
まるる


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