第13話 引越し

息子のこと

年があけて、いよいよ復学の準備が本格的に動きだした。

何をおいても、まずは住む場所だ。インターネットで物件探しを開始。

家を見るのは本来好きなはずなのに、今回は気持ちが重い。そう、私はまだ――心の底では行きたくなかった。

物件探しスタート

条件は

  • 家賃をなるべく抑える(2拠点生活になるから)
  • 家から歩いて学校へ行ける(雨の日のために)
  • 山と川から離れる(自然災害が怖い)

①は京都と比べれば圧倒的に安く、クリア。でも、物件自体が少ない。田舎すぎて山だらけ。

「マンションがいいな」と思っていたが、そんな贅沢は通用しないらしい。

大雪で内覧延期

インターネットで候補を絞り、2月に内覧へ行く予定だった。…が、まさかの大雪で高速道路閉鎖。翌週に仕切り直しとなった。

内覧は3軒。家賃は条件を満たしても②と③がまったくダメ。特に③…どこを見ても山、山、山!!

息子と二人暮らしになるのでできるだけ安全な場所が良かった。

内覧した中から、無理やり選ぼうとした私に、夫が言った。

「無理に決めなくていいよ。まだ2月。また来たらいいやん」

その一言に救われた。焦っていたのは私だけだったのかもしれない。

理想の物件に出会う

帰宅してまたネットで検索していたとき、条件①〜③をクリアする「ちょっと良さげな物件」を発見。すぐに翌週、内覧へ。

築年数こそ経っているが、中はリノベーション済み。エアコン、洗面台、トイレ、換気扇…新品!

2LDKで56,000円(共益費・駐車場込み)。破格。

仲介業者からは提案がなかった物件。私が掘り出してきたのだ!(大げさ)

ひと目で気に入った。

不安と現実

住む場所が決まったことで安心した反面、現実が迫ってきて――「ほんまに引っ越さなあかんの?」半分冗談、半分本気で夫に何回も何回も聞いていた。

夫は笑っていつも同じように言った。「そうね」

引越し完了。でも…

3月中旬。最低限の荷物を揃えて、家族3人で引越し作業。荷物が少ないので自家用車で往復。

作業はすぐに終わり、「ここで暮らすのか…」と部屋をぐるりと見渡したとき、新生活のワクワクなんて微塵もなく、とてつもなく不安にかられた。

一旦どんなものかと、3人でその新居に泊まってみた。家電はまだ揃っていなくて不便な日だったが、息子と二人、なんとか生活していくしかない。

小さな希望

翌日。近くでカレーフェスタなるものが開催されていたので行ってみた。3月とは思えないほど暖かく、よく晴れた日。

私は夫と会場を回り、息子は一人で自由に食べ歩きしていた。元気にしている。楽しそうでほっとした。

帰り道。京都へ戻る車の中で、ふと思った。

次にここへ来るのは、息子と私――転居する日だ。

まだ覚悟はできていない。でも、進まないと。
ただし、腹は括れていない。

まるる

👉次回 第14話 新生活と別れ

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