看護師になると、毎日10人くらいの患者さんを受け持ち、入院から退院まで3人ほどを継続担当。
毎日バタバタで、まるで時間との戦い。
でも、実習は違う。1クール3週間で担当はたった1人。その分、じっくり関われる。
だから、10年以上たった今でも印象に残ってる患者さんが多い。
特に「小児」「精神科」は思い出深い。
小児実習 🧸
担当したのは、小学校入学前の女の子・Aちゃん。
初日の挨拶で病室に入ると……ユニコーンやリボンのバルーンがいっぱい!
「ここ病室!?テーマパークやん!」と思った。
Aちゃんは元気いっぱいで、「お姉様〜!」と笑顔で出迎えてくれた。
(お母さんが「お姉様来てくださったよ」と言うから、そう呼ばれてた笑)
お母さんも一目でわかるお金持ち。
話題は「インターのお友達」や「バイオリンの発表会」など、もう世界が違う。
毎日病室に行くたびにおもちゃが増えていって、
「あ、またグレードアップしてる…」って思ってた。
病状も落ち着いていたから、絵本を読んだり遊んだり。
ほんわか3週間。
“セレブで良い子なAちゃん”が今も忘れられない。
精神科実習 🧠
私は授業の中でも精神科が一番好きだった。
課題で書いた看護過程が、先生に「コピーさせて」と言われたくらい。
「絶対、精神科で働く!」と意気込んでた。
……のに。
実習先はまさかの、アルコール依存症病棟。
「思ってたんと違う!!」
(統合失調症とか、そういう勉強するんじゃないの!?)
担当患者さんはBさん。
アルコール依存症で家族が離れてしまった男性。
息子が20歳になるからと、作業療法で財布を作っていた。
病気のせいで手が震えてうまくできず、泣いたり、イライラしたり。
ある日「今日は作業療法サボる!」と宣言し、
私にキャップを被せて山まで散歩。
(病棟には報告済みの“合法サボり”です笑)
病棟は意外と自由で、談話室でテレビを見たり、
午後は医師の勉強会や「お酒での失敗談を語る会」もあった。
患者さんたちは明るくて「普通」の人ばかり。
でも実際は、多くが入院常連さんで、
もうお酒はコリゴリと思っても、また飲んでしまうらしい。
受け持ちではなかったけど、20代の女性患者さんはよく話してくれた。
「お父さんと二人やから早く退院したい」
「ストロング缶はヤバい」
「アル中ってバレるから毎日コンビニ変えててん」
「お酒買うお金なかったら、料理酒とかみりんも飲んでた」
「寝てたらお腹の上をちっちゃい大名行列が通ってて、“あ、幻視や!”って思ってん〜」
とケラケラ笑っていた。
全然派手でもない、本当に普通の女の子に見えたから
アルコールの怖さを感じた。
リアルな話を聞けて、勉強になった。
最終日の報告会 🎓
最終日の報告会では、他の病棟の学生たちは涙涙の発表。
でも、アルコール病棟組の私たち3人だけは笑顔で報告。
「アルコール病棟だけ遊んでたって思われるやん!」と
指導者に笑われたけど、本当に楽しかった。
精神科には優しい男性看護師が多くて、
ピリピリした雰囲気もなく、癒し空間だったのも印象的。
アルコール病棟の経験だけで「精神科行こう!」とはならなかったけど、
今でもやっぱり心惹かれる。
いつかまた、精神科にご縁があるといいな。
まるる
🐸 次回 看護師になるのをやめかけた 🐸

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